yomoyama

以下、七海は生活を回すということを大切にしてそうだなぁという妄想から生まれてどうにもならなかった文#juju

 帰ったら不燃物をまとめないといけない。でもまずは腹ごしらえにお弁当をレンジであっためて、あ、そうだ、レンジも拭きたい。あと隣のトースターのパンくずも始末したい。書類も整理しないと締め切りのあるやつがまだだ。ボールペンもインクが掠れてるし、朱肉もどっかいった。ああ、クソ、仕事して生活してたら何もできないな。ただゆっくり休むことも。休みの日がそういう雑事で潰されるのもムカつくけど、結局今週もそうなるのだろう。生きるために労働しているのに、生きることがままならないなんて意味が分からない。クソだ。
 なんてやさぐれで帰ったら、七海がいろんな家事と掃除をやってくれていた。同棲しているのならまだしも、私と彼は一人暮らし同士で、七海なんか私より忙しいのに。
「うそ……え……神……?」
「一度始めたら乗ってしまって」
「七海の貴重なオフが……でも正直めちゃくちゃありがたい泣きそう」
「浴槽も洗ってるのでいつでもどうぞ」
「何でそんなに優しいの……」
 堪えたのに、被さった優しさに結局泣いてしまった。ハードな仕事のあとだったから余計だ。人間の嫌なところを見た直後で、こんなにも尊くて穢れなく美しい奉仕があるのかと人生の意味さえ掴めそうな気がした。
 しみったれた涙を流す私に七海は呆れた表情をした。そして彼は私の涙を拭きもせず、最後の仕上げというようにダイニングテーブルを丁寧に拭き上げて呟く。
「大袈裟な」
「今度七海のお家掃除するから」
「今はそこまで困ってません。来月あたりは頼むかもしれませんが」
「いつでも言って。言われなくてもする。この嬉しさを七海にもあげるから。泣いちゃうと思う」
「そうですか」
「これはマジのガチ」
「マジでもガチでもどうでもいいですが野菜室のほうれん草死んでましたよ」
「知ってるよ怖くて開けられなかったんだよ。七海が退治してくれたの? さすが一級呪術師!」
「いえ、時間外なので」
「え、嘘っ」
「嘘です」
「もーーー」



多分七海も仕事で「クソが」っていうことがあって夢主宅に来てるんだけど、夢主のあまりの生活の荒れっぷりに「皿洗いだけでも」とやってあげたらそのまま乗ってしまってレンジもトースターも掃除しちゃったっていうやつ。
家事で無心になれたし、夢主は喜んでくれるしご機嫌で「お酒飲む?☺️」「おつまみ作ろうか?☺️」とか言ってくれるのでwin-win☺️
七海ってそういう風に仕事で精神的にままならない中でも何とか生活を回していくことに達成感を覚えてそうだし、そこに恋人が加わって何かしらの相乗効果があると更に幸せを感じてそうで好き。

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こうやって勢いで書き始めて何にもなれなかった無銘がたくさんある🥲
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